インボイス制度
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2023/2/21
この度は、建設・建築業界の適格請求書の作成方法でこちらのコラムをご覧いただきまして誠にありがとうございます。文章をお読みいただく前に、適格請求書のフォーマットのダウンロードリンクを以下に記載しておきます。
適格請求書の雛形やテンプレート、フォーマットやサンプルが欲しい!と言う方はぜひご活用いただけましたら幸いです。
またこれより後の文章で、インボイス制度による影響や、適格請求書の書き方・作成方法について図解入りでご説明させていただきます。ご興味のある方はぜひお読みいただけましたら幸いです。
また建設・建築業の元請さん向けのインボイス制度の解説は以下の記事で解説しています。
建築業・建設業ならでは!インボイス制度の影響で元請も損をする!?損する仕組みとは?簡単にわかりやすく図解で説明
さらに元請さんが具体的に何をしたら良いか?も別記事で解説しております。
【インボイス制度の影響で損をしない】建設業・建築業の元請さんがやるべき4つのことを簡単にわかりやすく解説
建設業界・建築業界に身を置く皆様も、インボイス制度に対応するか否かは重要で、知らずに制度開始を迎えてしまうと思わぬ損失をしてしまう可能性があります。
「インボイス制度って何?自分も対応したほうがいいの?」
「今の制度と何が違うの?」
「応援作業する場合の人工費の請求も関係ある?」
この記事では、建設業界・建築業界においてのインボイス制度へのこんな疑問にお答えします。
現行の請求書での発行を続けていると、発注元の企業が仕入税額控除を受けられなくなってしまい、次から仕事を回してもらえなくなってしまうなんてこともあるかもしれないんです・・・。
この記事を全てお読みいただければ、
・インボイスとは何か
・いつまでに何をすればいいのか
・適格請求書の発行要領
が分かるようになります!
書類を正しく作成できるかどうかは、取引先との信頼関係にも影響しますのでとても大事なことです。とてもわかりやすく解説していますので、ぜひ参考にしてください!
まずはインボイス制度とは何なのかについてです。
インボイス制度とは“適格請求書保存方式”とも言い、それぞれの税率に対応した仕入税額控除を受けるための方式です。
商品やサービスを提供する「売り手」側が“適格請求書”という書類を発行し、その商品やサービスを提供される側の「買い手」は発行された書類を保存します。
つまりインボイス制度の本質は、売り手側が提供したものに対する税率と税額を正しく明記し伝えることで、取引の透明性を維持することにあります。
このインボイス制度は2023年の10月1日からスタートします。
売上額が1000万円を超える規模の事業者は、消費税の納税義務がある「課税事業者」に該当します。課税事業者が消費税を納める際、仕入れで発生した消費税も計算に入れてしまうと、売上額で計算する消費税と重複し、同一の商品で二重の税金を納めていることになります。
これを防ぐための制度が仕入税額控除です。定められた記載事項が守られている書類を保存していれば適用される制度ですので、この控除を受けるために新たにインボイス制度で定められる“適格請求書”というものが必要になります。
インボイス制度下で適格請求書を発行するためには、登録事業者として審査を受ける必要があります。また発行事業者として登録するには、課税事業者であることが前提条件になります。売り上げ規模が1000万円に満たない、納税義務が免除されている事業者は適格請求書を発行することができません。
まだ始まっていない制度ですのではっきりとは言えませんが、大半の事業者はインボイス制度への対応がマストになると考えられます。建築業界で仕事をしている事業者がもしもインボイス制度に対応しなかったら、こんなことが考えられるかもしれません。
インボイス制度に非対応(発行事業者登録をしていない)ので適格請求書が発行できない
↓
工事の発注元の企業が仕入税額控除を受けられない
↓
工事を発注する企業は仕入税額控除適用のインボイス制度に対応した事業者に仕事を振る
制度が一つ変わったくらいで仕事が激減してしまうなんてことは当然避けたいですよね?
裏を返して言えば、インボイス制度が始まる前にしっかりと準備しておくことで、他の事業者に差をつけることができるんです!
先ほど解説した通り、免税事業者は適格請求書を発行することができません。もし現在免税事業者である事業者が適格請求書を発行したい場合は、課税事業者選択届出書を提出して課税事業者になる必要があります。
今まで通り免税事業者として活動しインボイス制度に対応せずにいるか、消費税の納税義務が発生する課税事業者登録をしてインボイス制度に対応するかは、各事業者がしっかり検討するべき点です。
適格請求書とは「インボイス」とも呼ばれ、売り手側が買い手側に対して発行する、税率や消費税額を明記した書類のことを言います。この書類は、買い手側が購入した商品やサービスに対して支払った消費税を、仕入税額控除に適用するために必要な書類になります。
インボイス制度が始まる以前の今現在、仕入税額控除を受けるための「区分記載請求書等保存方式」というルールとは何が異なるのか、また適格請求書(インボイス)にはどのような項目を記載すれば良いのか、具体的に見ていきましょう。
現在の“区分記載請求書等保存方式”と“インボイス制度”では、仕入税額控除を受けるために必要な書類を保存しておくルールという観点では考え方は同じです。
インボイス制度で大きく変更されるルールとしては、書類に明記しなければいけない項目が義務付けられています。
現行で請求書に記載している項目に加え、
・適格請求書発行事業者の登録番号
・適用税率
・税率ごとに区分した消費税額
が新たに必要になります。条件を満たしていないとインボイスとして認められませんので注意しましょう。ここからはインボイスの発行をするために、何をどのように作成したら良いのか、詳しく解説していきます。
まずは国税庁が出しているインボイスに記載が必要な事項を見てみましょう。
① 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
② 取引年月日
③ 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
④ 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率
⑤ 税率ごとに区分した消費税額等
⑥ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
記載すべき内容は、現行制度で発行している請求書とそれほど違いはありません。
気をつけるポイントの一つ目は、①の適格請求書発行事業者の登録番号を明記しなければならない点です(登録番号の交付については後ほど詳しく紹介します)
二つ目に④の適用税率に関してです。商品やサービスによって8%と10%に区別して記載しましょう。
三つ目に⑤の消費税額の記載についてです。インボイスには消費税額(税込金額)の記載がマストになります。
前項の①〜⑥の記載があれば適格請求書としての基準は満たしていますが、プラスアルファで記載しておくと便利だったり、取引先の印象が良くなるポイントを紹介します。
・振込先の情報
建築業界では請求金額を振り込みで支払って頂く機会も多いと思います。その場合は金融機関名、支店名、口座番号、口座名義を記載しておきましょう。銀行コードや支店コード、口座名義をカタカナで記載しておくと取引先に親切なインボイスになります。
・請求書番号
請求書をナンバリングしておくと、取引先からの問い合わせがあったときや、請求書の管理に便利です。
・源泉徴収
源泉徴収をしている場合には、その旨と金額を記載しておきましょう。
建築業界では作業員1人に対する人件費を「人工」という単位で表して計算することがあります。他の事業者の受け持ちの現場に応援作業などで入場する場合は、人工費のみで請求書を作成することもしばしば。
インボイスを発行する際、人工費の記載をするときは注意が必要です。例えば3日間の作業日数を2人で作業した場合、人工は6人工と表記します。
建築業界内のみでやり取りされる書類ならばこの記載で問題なく意味が伝わりますが、インボイスは業界外の関係各社や税理士等も扱う書類です。人工費を記載する場合は、備考に詳細の説明や、計算の内訳を記しておきましょう。
人工費用は区別的に外注費用に分類されます。記載の仕方が雑であったり、表記の仕方によっては法令違反を疑われる可能性があります。消費税額と税率の記載も忘れずに、しっかりと記録を残しましょう。
前項の人工についてもそうですが、インボイスに記載する用語は可能な限り専門用語を控えましょう。「人工」や「養生」など、建築業界に専門用語が多いことは今に始まった話ではありません。
税理士や元請けからの確認等の手間を省く意味でも、わかりやすく、伝わりやすい言葉を選ぶのが賢明です。請求書には、備考の欄が設けられているフォーマットがほとんどですので、そうしたスペースを活用して品目の説明をするのもアリです。
適格請求書に関して、ここまでに解説したルールに則っていれば、決まった書式やフォーマットなどはありません。今まで通りの慣れた書式を使用するのも良し、手書きであっても問題ありませんし、紙面ではなく電子上のデータでももちろんOKです。
新たにインボイス制度がスタートした後は、今まで以上に請求書をやり取りする回数が増えることが懸念されます。そうした状況を鑑みた上でおすすめしたいのが、適格請求書をデータで管理することです。
膨大な量のインボイス資料を紙で管理するのは、業務をより煩雑にしてしまいますし、紛失のリスクもあります。その上、発注元の大きな企業ではどんどんペーパーレス化が進んでおり、インボイス資料のデータ化を指定される可能性もあります。
今まで紙で請求書を管理していたという事業者の皆様も、今回のインボイス制度導入を良い機会として、データへの移行にチャレンジするのはいかがでしょうか?
インボイス制度では、適格請求書の発行が現実的ではない業種に対して、「適格簡易請求書」の保存で仕入税額控除を受けられるという決まりがあります。
適格請求書と簡易請求書の違いについてや、建築業界で主にやり取りされると予想される書類はどちらかについて解説していきます。
適格簡易請求書とはその名の通り、インボイスを簡易的な内容にした請求書のことを言います。例えばタクシー業をしている事業者は、乗せた顧客に対して毎回請求書を発行したりはしませんよね?スーパーマーケットなども同様で、取引相手と毎度請求書を交わすのが現実的ではない業種がいくつも存在します。
こうした事業者に対して設けられた取り決めが、簡易的な請求書でも仕入税額控除を認めるというものです。これは、全ての事業者に認められているわけではありませんので、拡大解釈しないように注意が必要です。
適格簡易請求書が認められる主な業種は、
・タクシー業
・小売業
・飲食店業
・旅行業
・駐車場業
などが挙げられます。
適格簡易請求書は簡易インボイスとも呼ばれます。簡易インボイスに記載が必要な項目は以下の通りです。
① 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
② 取引年月日
③ 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
④ 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)
⑤ 税率ごとに区分した消費税額等又は適用税率
注目したいのが⑤の消費税額又は適用税率という部分です。
つまりインボイスと簡易インボイスの一番の違いは、インボイスは適用税率ごとの区別と消費税額の両方が必要なのに対し、簡易インボイスはいずれか一つの記載で良いというところです。
インボイスと同様、簡易インボイスにも専用のフォーマットなどはなく、前項の必要事項が揃っていれば簡易インボイスとして認められます。
そのため、必要事項のポイントを押さえていれば、現在使用している領収書やレシートを少し更新するだけで簡易インボイスへの対応が可能です。
現行の領収書やレシートと大きく変わる点は、発行事業者の登録番号が必要という点です。これがないと簡易インボイスとして認められません。
もう一点は、適用税率と税率ごとの合計額の記載です。これに関しては現行の書類でも記載している場合がほとんどだとは思いますが、簡易インボイスをメインに取り扱おうと検討している事業者は、必ず事前にチェックしておきましょう。
繰り返しになりますが、簡易インボイスでの仕入税額控除を受けることができるのは、領収書やレシートでの取引が主体である業種に限られます。
建築業界にフォーカスしてみますと、主に取り扱われると予測されるのは簡易インボイスではなくインボイス(適格請求書)だと考えられます。
建築の現場では、領収書やレシートでの請求のやり取りは少なく、統一した書式やエクセルで作成した請求書を利用していらっしゃると思います。
恐らく建築業種のような、普段から請求書を取り交わしている業種での簡易インボイスは認められませんので、インボイス制度に対応しようと検討している事業者の方は、インボイスの発行をするための事前準備を始めましょう。
インボイスを発行する事業者(売り手)と、インボイスを受け取る側(買い手)は双方共にインボイス資料を保管する義務があります。保管の期間は7年間です。
長期間の資料保管には、紙面よりもデータでの管理が圧倒的に向いています。インボイス制度に対応可能な請求書管理の請負サービスなどもありますので、活用することをおすすめします。
インボイス制度について理解が深まったところで、インボイス制度対応に必要な適格請求書発行事業者登録の方法について見ていきましょう!
2023年10月からスムーズに新制度に移行するためには、期間を逆算して事前準備する必要があります。これから紹介する内容を読んで、他の事業者に遅れを取らないようにしましょう!
2023年10月までにしなければいけないことはこれだけと言っても過言ではありません。
それは事業者登録です。
ここまでに解説した通り、インボイスの発行は登録事業者として国税庁からの審査を受ける必要があります。手順はとても簡単ですので順番に見ていきましょう。
インボイスの登録事業者として審査を受けるためには、登録申請書を提出する必要があります。
申請書は国税庁のホームページに書式がありますので、そちらを使用します。
必要事項を記入し、申請書を作成したら「インボイス登録センター」という専用の住所へ書類を郵送します。全国各地に用意されていますので、お近くの住所へ郵送にて送りましょう。
「e-TAX」というオンライン上のサービスを使って、WEB上で申請書を提出することも可能です。e-TAXを以前に利用したことがあるという方は、こちらの方が便利ですのでおすすめです。
申請書を提出した後は、国税庁の審査の結果を待ちます。無事に事業者登録の審査を通ると、発行事業者の登録番号が交付されます。
インボイスの発行事業者登録が完了した事業者は、国税庁ホームページ内の「適格請求書発行事業者公表サイト」というページに掲載されます。
誰でも確認できるページですので、自身の事業者が登録されていることの確認や、取引先が登録されているかどうかも確認することができます。
※登録は消費税の課税事業者のみ。事業者形態は企業、個人事業主、フリーランス等ジャンルは問われません。
インボイス制度が適用される2023年の10月1日からインボイスを発行するためには、遅くとも2023年の9月までに申請を済ませ、審査を通す必要があります。
手続きを先送りにするメリットはありませんので、インボイス制度に対応することを決めた場合は、早めに申請書の作成に取り掛かりましょう。
最後にインボイス制度開始に当たり、仕入税額控除を受ける側のポイントを押さえておきましょう。
ここまでの内容で、インボイスを発行する側(売り手)の観点で様々なポイントを解説してきましたが、買い手側にも押さえておきたいポイントがあります。
納税に関して損をしないように要チェックです!
売り上げ規模が1000万円に満たない事業者で、課税事業者の届出をしていない免税事業者はインボイスの発行ができません。そのような事業者と仕入れの取引をした場合は通常、仕入税額控除は受けられません。
しかし、インボイス制度開始から6年間の期間に限定して、一部の金額に対して控除を受けられる「経過措置」というものが設けられています。
詳細は以下の通りです。
2023年10月01日〜2026年09月30日 免税事業者からの仕入税額相当額の80%
2026年10月01日〜2029年09月30日 免税事業者からの仕入税額相当額の50%
上記の通り、仕入税額に対して全額が控除されるわけではありません。
そのことから、各事業者で仕入先の見直しが掛かる可能性が高いです。
ここまでお話したとおり、建設・建築業を営む企業や個人事業主は、適格請求書に対応したフォーマットで請求書を発行する必要があります。
ですが請求書を発行するたびに、「この請求書は適格請求書に対応しているかどうか」や「項目に抜け漏れがないか」を確認するのは、経理業務の大きな負担となります。
そこでおすすめするのは、インボイス制度に対応したシステムを導入することです。
インボイス制度に対応するシステムであれば、上記のような経理業務の負担が無くなり、業務効率が格段に向上します。
弊社インベストデザイン株式会社が提供する、建築業特化型システム「monect(マネクト)」をご導入いただくことで、インボイス制度に対応することができます。
monectの特徴で特筆すべき点は、協力会社との取引を飛躍的に効率化できることです。monectを使用している協力会社と書類を承認した場合、次回から必要な書類が自動で作成される仕組みになっています。もちろん書類をシステム内で送受信することも可能。加えて、協力会社とシステム上でメッセージのやりとりができるなど、協力会社との結束を高めるには最適なシステムです。インボイス制度だけでなく電子帳簿保存法にも対応しているので、近い将来を見越してmonectの導入を考えてみてはいかがでしょうか。
インボイス制度がスタートした後は、各事業者で様々な対応に追われることが予想されます。制度にいち早く順応するためにも、事前に準備可能なことは予め余裕を持って行動していきましょう。
同時にインボイスの書類が増えつつ、既存の請求書と混在することで、業務効率が著しく低下してしまうことも考えられます。インボイス制度開始を目処に、請求書関連の請負サービスに頼ることを検討してみてください。
建築関係は現場での作業効率が命です。特に一人親方で回している事業者様は、経理関係をプロに任せるのが絶対におすすめです。インボイス制度を正しく理解して、先手を打って賢く立ち回りましょう!