建築業・建設業で電子契約ってありなの?!法律的に問題ない電子契約のポイントや注意点を解説

2023/4/12

建築業・建設業で電子契約ってありなの?!法律的に問題ない電子契約のポイントや注意点を解説

建設業・建築業における電子契約とは

電子契約とはインターネットや電子メール、スマートフォンアプリケーションなどを利用して締結される契約のことです。これまでの紙の契約と同じように、電子契約は当事者間の合意に基づいて成立します。ところが紙の契約とは異なり、電子契約は、文字通り、電子データによって作成、保存、転送される仕組みのことです。

紙の契約にと比較して多くのメリットがあるもはもちろん、他方で電子契約にはいくつかのデメリットもあります。さらに電子契約・電子署名が法的に認めらるかどうかのポイント・注意点もありこのコラムでご紹介します。内容を後で見返したい方は、お気に入り登録の程よろしくお願いします。

電子契約は、これからもビジネスシーンに必要不可欠なツールの一つと言っても過言ではなく、IT化、DX化、デジタルシフトが他の業種と比べて遅れている建設業・建築業だからこそ、このタイミングで電子契約の導入を検討されてください。

 

建築・建設業で電子契約は成立するのか

建設業・建築業においても電子契約は成立します。

日本国内で2000年に制定された「電子署名法」により、電子署名によって作成された契約文書は、従来の手書き署名によって作成された契約文書(紙の契約書)と同じように法的な効力があるとされました。

つまり電子契約は従来の紙での契約手続きと同様に有効であり、裁判所でも認められます。

また、1998年に制定された「電子帳簿保存法」は、税法で原則として紙での保存が義務付けられている帳簿書類について、一定の要件を満たした上で特例として電子データによる保存を認めるとともに、電子的に授受した日々の取引情報の保存義務を定めた法律です。さらに、2021年の改正法により、帳簿書類を電子的に保管する際の手続等について、抜本的な見直しがなされました。

後ほど紹介しますが、最近ではクラウド上での電子契約の提供や、AIによる契約書の作成支援など、テクノロジーの進化によって電子契約を利用される企業が増え、電子契約に関連するサービスの種類や提供する企業も増えてきています。

 

建設業・建築業において電子契約を成立させるための注意点

ここまで電子契約は非常に素晴らしいもののようにお伝えしてきましたが、注意点もあります。

建設業・建築業において契約の代表的なものとしては、「建設工事の請負契約」です。

この「建設工事の請負契約」を電子で行うことに関しては、建設業法第19条第3項に定められており、当該条項に定められている条件を満たせば、電子契約が締結可能になります。

建設業法の第19条3項を引用します。

建設業法第19条第3項

建設工事の請負契約の当事者は、前二項の規定による措置に代えて、政令で定めるところにより、当該契約の相手方の承諾を得て、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて、当該各項の規定による措置に準ずるものとして国土交通省令で定めるものを講ずることができる。この場合において、当該国土交通省令で定める措置を講じた者は、当該各項の規定による措置を講じたものとみなす。

 国土交通省 建設業法より

この建設業法第19条第3項によれば、「建設工事の請負契約」を電子契約で行うには、まず政令で定める方法で契約の相手方の承諾を得る必要があります。

具体的には、

・建設業法施行規則第13条の4第1項に定められたコンピュータ・ネットワーク利用の措置(電子メール、Web、によってコンピュータ間で電子データを送受信する措置)など

・電子データのファイルへの記録方式

の2点を相手方に示し、書面又は国土交通省令で定められた電磁的方法によって、承諾を得る必要があります。

 そして上記承諾が得られた場合には、相手方に提示した電磁的方法により、電子契約を締結することが可能になりますが、電子契約を締結する際には、次の技術的条件を満たす必要があります。

 ・当該契約の相手方がファイルへの記録を出力することによる書面を作成することができるものであること。(見読性の確保)

・ファイルに記録された契約事項等について、改変が行われていないかどうかを確認することができる措置を講じていること(原本性の確保)。

・当該契約の相手方が本人であることを確認することができる措置を講じていること(本人性の確保)。

 

 

建築・建設業における電子契約のメリットとは

建設・建築業における電子契約のメリット①:時間とコストの削減

電子契約は、紙や郵送物を使う従来の契約手続きと比較して、簡単かつ迅速に契約を結ぶことができます。契約当事者は、電子メールやウェブアプリケーションなどを介して、必要な文書をやり取りすることができます。これにより、契約締結までの時間と手間を大幅に削減することができ、コストも削減することができます。

建設・建築業における電子契約のメリット②:利便性

電子契約は、場所や時間を問わずに締結することができます。契約当事者は、インターネットに接続されたデバイスからアクセスすることができ、必要な文書をダウンロードしたり、アップロードしたりすることができます。これにより、遠隔地にいる当事者間での契約締結も容易になります。

 

建設・建築業における電子契約のメリット③:環境への負担低減

電子契約は、文字通り契約書の電子化です。契約書を紙に印刷する必要がありません。印刷しなくて良いということは、紙資源を使用しませんので、環境に与える負荷を低減することができます。単純に紙代や封筒代や切手代が削減することができます。また、郵送物や書類の移動に伴うCO2排出量を減らすこともできます。

 

建設・建築業における電子契約のメリット④:正確性や信頼性

電子契約は、電子署名や認証システムを利用して、改ざんや不正アクセスのリスクを低減することができます。また、契約文書のバージョン管理や契約履行の監視が容易になるため、契約の正確性と信頼性が向上します。

 

建設・建築業における電子契約のメリット⑤:収入印紙が不要に

電子契約ですので、収入印紙が不要になります。印紙税だけでも年間数百万円になる建設会社・建築会社もいますので、この印紙のコストが0円になるだけでも相当なメリットになります。これまで印紙にかけていたコストが無料になりますので、電子契約を導入するだけで相当なコスト削減となるのです。

 

これらのメリットを踏まえると、電子契約は現代のビジネスに欠かせないツールの一つとなっています。しかし、適切なセキュリティ対策を講じたり、法的な問題について十分に考慮する必要があることも忘れてはいけません。

 

建築・建設業における電子契約のデメリットとは

建設・建築業における電子契約のデメリット①:セキュリティの問題

まずはセキュリティの問題が挙げられます。電子契約は、インターネットや電子メール、スマートフォンアプリケーションなどを介して作成、保存、転送されます。そのため、ハッカーの攻撃やウイルス感染などのセキュリティリスクが存在します。万が一、電子契約が改ざんや紛失された場合、当事者間での紛争が生じる可能性があります。

 

建設・建築業における電子契約のデメリット②:認証に関する法的な問題

電子署名は、法的に認められているかどうかは国や地域によって異なります。そのため、電子署名を利用した契約が法的に有効かどうかを確認する必要があります。また、電子署名の取り扱いについての法的なルールやガイドラインが整備されていない場合もあり、当事者間での混乱が生じることがあります。

建設・建築業における電子契約のデメリット③:保存に関する問題

電子契約は、紙ベースの契約とは異なり、紛失や破棄のリスクを減らすことができます。しかし、電子契約は、保存媒体が不適切であったり、データのバックアップが不十分であったりする場合に、紛失や破棄のリスクが生じることがあります。

 

これらのデメリットを踏まえると、電子契約の利用には注意が必要です。セキュリティや法的な側面を十分に考慮し、適切な対策を講じることが重要です。また、電子契約の利用にあたっては、専門家のアドバイスを受けることが望ましいです。

 

建設業・建築業で契約の必要な書類とは

建設業法上、書面が必要な契約は、「建設工事の請負契約」(建設業法19条1項)と定められています。

「建設工事」についても、建設業法に定められており、「建設工事」とは、「土木建築に関する工事で別表第一の上欄に掲げるものをいう。」とされ、建設業法の別表第一の上欄は以下のとおりとなっています。

別表第一の上欄

土木一式工事
建築一式工事
大工工事
左官工事
とび・土工・コンクリート工事
石工事
屋根工事
電気工事
管工事
タイル・れんが・ブロツク工事
鋼構造物工事
鉄筋工事
舗装工事
しゆんせつ工事
板金工事
ガラス工事
塗装工事
防水工事
内装仕上工事
機械器具設置工事
熱絶縁工事
電気通信工事
造園工事
さく井工事
建具工事
水道施設工事
消防施設工事
清掃施設工事
解体工事

 したがって、建設業法上、書面での契約締結が求められるのは、上記別表第一の上欄に掲げられている各工事に関する請負契約ということになります。

 

建設業・建築業電子契約ができるシステム・アプリ9選

建設業界・建築業界でも導入することができる電子契約のカテゴリーのサービスを9個にまとめましたので参考にされてください。機能、料金、導入事例、資料請求などは各社のホームページをご覧ください。

 

クラウドサイン

クラウドサインは、2011年にスタートした日本発の電子契約サービスで、現在では日本国内で最も利用されているサービスのひとつです。弁護士が代表をされている弁護士ドットコムが提供されていることもあり、法的な観点からも信頼性が高く、利用企業数が多いため、幅広い業種や契約形態に対応しています。また、ドキュメントの作成から署名まで一括で行える「サイクル機能」が充実している点が特徴的です。

 

GMOサイン

GMOサインは、GMOインターネットグループが提供する電子契約サービスで、法的な要件をクリアした電子署名や、ドキュメントの進捗管理機能が充実しています。また、API連携にも対応しており、既存のシステムに組み込みやすい点が評価されています。

 

ContractLive

月額利用料が比較的安価で、様々な業種や契約形態に対応した多機能なサービスです。法務チームが監修しているため、法的な観点からも信頼性が高いとされています。

 

Docusign

世界中で利用されている電子契約サービスで、日本国内でも多くの企業が利用しています。契約当事者に対する署名や承認のリマインダー機能などが充実しており、使い勝手が良いと評価されています。

 

SignRequest

ヨーロッパ発の電子契約サービスで、日本国内でも利用が広がっています。簡単な操作で契約書の送信や署名が可能で、契約の進捗管理機能なども備えています。

 

Cacoo

日本発のクラウドベースのドキュメント作成ツールで、契約書作成に特化した機能を提供しています。契約書のテンプレートが豊富に用意されているため、初めての方でも使いやすいとされています。

 

eformsign

大手IT企業のNECが提供する電子契約サービスで、高いセキュリティ性能が特徴です。日本国内での利用実績も豊富で、多様な契約形態に対応しています。

 

Legato

日本発の電子契約サービスで、月額利用料が低価格な点が魅力的です。簡単な操作で契約書の送信や署名が可能で、カスタマイズ性も高く評価されています。

 

Adobe Sign

世界中で利用されているAdobeの電子契約サービスで、日本国内でも多くの企業が利用しています。簡単な操作で契約書の送信や署名が可能で、多様なファイル形式に対応しています。

 

おわりに

この記事で建設業界・建築業界で電子契約が成り立つのか?をご案内させていただきました。

これまでの紙の契約書や、印鑑、捺印を電子化し業務が効率化し、印紙が不要になる画期的なサービスです。

この記事がみなさまのお役立ち情報になっていましたら幸いです。